無料で使える! 目の不自由な方が安全に道路を横断するための訓練アプリ

「わたろう」

~ 車が走るリアルな音を聞いて、ゲーム感覚で道路の横断を訓練しよう ~

「わたろう」は無料でダウンロードできます。
私たちは、一人でも多くの目の不自由な方たちが訓練できればと願っています。
ダウンロードして、早速使ってみてください。

Windows版アプリ「わたろう」のダウンロード

動作環境:Windows7以降のOSが搭載されているPC

なぜ、「わたろう」が必要なのか

目の不自由な方にとって、道路を横断することは怖いことです

目の不自由な方にとって、車が通る道路を横断することは、とても怖いことです。信号機のない横断歩道を渡るとき、目が見える人は、右を見て、左を見て、車が来ないことを目で確認することができますが、目の不自由な方が横断するときは、よく耳をすまし、右からも左からも車が来ないかどうかを注意深く確認し、自分の耳で安全だと判断して渡らなくてはなりません。

道路を安全に横断するときの手がかりは、車が走る音です

目の不自由な方が、信号機のない横断歩道を渡るときに、そのタイミングを知る手がかりは車が走る音です。この音が最も信頼できる、重要な手がかりとなります。車の走る音はとても重要で、信号機のある横断歩道で歩行者側の信号が青の場合でも、誘導音があるなしにかかわらず、横断歩道を渡るときは、右折車や左折車の音も気にしなければなりません。車の走る音だけをたよりに道路を横断することは、大変危険を伴います。

実際の道路で訓練するには、専門の歩行訓練士の同伴が必要です

目の不自由な方が安全に道路を横断するには、実際に道路に出て、様々な状況での練習を重ねることが効果的です。しかしながら、道路で目の不自由な方が一人で練習するには危険が多く、現実的とはいえません。実際に練習するには、専門の歩行訓練士の同伴が必要です。

自立して外を歩くことで、社会に積極的に参加することができます

道路を一人で歩くことが怖い、特に、道路を横断することに恐怖を覚える…。そういって外に出たがらない方もいるかもしれません。しかし、目の不自由な方が自立して道路を歩くことができれば、社会へ参加する道が大きく開けます。そのためには、一人で歩くときに最も怖さを感じる道路の横断がスムーズにできれば…、そんないくつもの声が、この、道路横断訓練アプリ「わたろう」の開発のきっかけとなりました。

ゲーム感覚で訓練することができる「わたろう」は、こんなアプリです

リアルな音を再現するために、実際の車の音を録音しました

「わたろう」で再生される車の音は、実際の車の音を録音したものです。乗用車やトラックのほか、目の不自由な方には音が静かすぎて聞きとりにくいハイブリッド車の走行音も取り入れています。

車の音に環境音も加え、よりリアルにしました

パソコンで訓練するときは、車の音だけでは静かすぎて違和感があります。そこで、よりリアルに再現するために、周りの環境音を加えました。環境音を入れることで、道路の奥行が増し、実際のシチュエーションに、より近い音になりました。

反復練習ができる初級者向けの訓練アプリです

当初は、様々なシチュエーションを予想してシミュレーション形式を想定していましたが、使いやすい操作性をめざし、初級者向けとしました。操作は簡単で、内容も繰り返し反復練習ができるようになっています。

操作は簡単。ゲーム感覚で楽しみながら訓練できます

車が走る音を聞いて、「道路を渡っていいな」と思ったところで、パソコンのスペースキーを押します。そのタイミングが安全だったか、そうでなかったかは、即座に回答されます。すぐに反応が返ってくるので、ゲーム感覚で、手軽に楽しみながら訓練できます。また、操作が簡単なので、パソコンの扱いが苦手な方やお子さんでも訓練することができます。

「わたろう」の開発に携わった専門家たち

「わたろう」の発案者は、自身が盲人である心理学の研究者

「目の不自由な方たちがもっと外出できるよう、手軽に訓練できるものを作れないか」と発案されたものが「道路横断訓練アプリ わたろう」です。発案したのは、公立はこだて未来大学の伊藤精英准教授です。伊藤准教授は自身が盲人です。伊藤准教授は、盲人が外を歩くときに何を手がかりにして歩くかを研究したり、盲人用の感覚代行器を開発するなど、目の不自由な方たちをテーマにした研究もしています。そんな伊藤准教授は今まで、多くの目の不自由な方たちが一人で道路を渡るときに怖さを感じるという話を聞いていました。「目の不自由な方が少しでも外出に意欲的になっていただけたら…」。こうして開発されたのが「わたろう」です。
関連ホームページへのリンク : 公立はこだて未来大学 伊藤精英

開発は、UIの専門家が開発に携わりました

「UI」は「ユーザインタフェース」の略です。パソコンやスマホの画面の表示の仕方やその反応など、全般的な「操作感」のことをいいます。「わたろう」は、このUIを専門とするフェノメナエンターテインメント株式会社が開発に携わりました。音声による説明と少ない操作キーのみで目の不自由な方にとって操作性のよいアプリを作り上げました。
関連ホームページへのリンク : フェノメナエンターテインメント株式会社

リアルな車の音は、音のスペシャリストが担当しました

道路を横断するときに最も重要になる手がかりとなるのは車の音です。この車の音がいかにリアルであるかが、「わたろう」にとってはとても大切なことです。車の録音を行った株式会社エス・シー・アライアンスは、音響のシステム設計から演出までをこなす音の専門家です。「わたろう」は、リアルな音を実現するために実際に車にマイクを取りつけて録音しました。 あたかも道路に立っているかのように違和感なく訓練することができます。
関連ホームページへのリンク : 株式会社エス・シー・アライアンス


資金の援助をいただいた団体

本アプリを開発するにあたり、以下の団体から助成を受けました。ここに記して感謝申し上げます。

CWAJ (College Women's Association of Japan) Scholar Grant

財団法人 日産科学振興財団